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●今週のプリ伍
第49話『夢と希望のプリキュア5!』
満身創痍で、強敵カワリーノを倒したプリキュアたち。
しかし、なおデスパライアは無傷で健在。
いまや無人と化したナイトメアのコロッセオ最上部の玉座にて、薄笑いを浮かべながらプリキュアたちを見下ろす。
「では、貴様たちの絶望をもって幕引きといこうか……」
コロッセオの壁から、地面から、数え切れないほどのウォーリア・コワイナーが出現してくる。
「くっ…」
圧倒的な戦力さを前に歯噛みするプリキュアの五人。倒すべきはデスパライア。しかし、そこへ到る唯一の道は、ウォーリア・コワイナーの軍勢に閉ざされてしまっていた。
だが。
「プリキュア・レモネードシャイニング!!」
今にも襲い掛かろうとしていたウォーリア・コワイナーの先陣を、キュアレモネードの必殺技が牽制する。
「ドリーム、ここはわたしに任せて、デスパライアのもとへ! 早く!」
キュアミントとキュアアクアが、視線を合わせて大きく頷いた。
「ミント、道を切り開くわよッ! プリキュア・アクアトルネード!!」
「プリキュア・ミントシールド!!」
キュアアクアとキュアミントの最後の力を込めた必殺技によって、軍勢の中央が大きく突き崩された。完全密集を敷いていた布陣に、デスパライアへと通じる細い道が開ける。
仲間の思いを無駄にしないためにも、キュアドリームが、その希望の道を駆け出した。
しかし、必殺技に統制を乱されたのは一瞬のこと。素早く布陣を組み直したウォーリア・コワイナーの数体が、キュアドリームの前に立ち塞がる。
「邪魔すんなッ! プリキュア・ルージュバーニング!!」
炎の疾駆が、そのウォーリア・コワイナーたちを薙ぎ倒す。
「行ってッ、ドリーム!」
キュアドリームを追おうとする敵を一手に引き受けたキュアルージュが叫ぶ。キュアドリームは振り返りたい気持ちをこらえて、一気にコロッセオを駆け上がった。そして……。
「来たか……。しかし、一人だけで勝てるとでも?」
玉座に軽く頬杖をつきながら、傲然とそう洩らすデスパライア。
キュアドリームは、自分の胸の中心を押さえて、真っ向から言い返した。
「一人じゃない。みんなの気持ち、ここに持ってきた」
キュアルージュ、キュアレモネード、キュアミント、キュアアクア……
敵の数の多さに呑み込まれ、劣勢を強いられる仲間たちが、全ての希望を託して必死で持ちこたえてくれている。
(待ってて、もうすぐだからね、みんな!)
「いいのか? このままだと仲間が死ぬぞ?」
それには答えず、戦闘の構えを取るキュアドリーム。
「ほう、仲間を見捨てるというのか……?」
「違う。みんなはあたしを信じてここまで送り届けてくれた。だから、あたしもみんなを信じてる。誰一人、死んだりなんかしないっ!」
「キャー! イタイイタイ……ドリーム助けてぇぇぇっっ!」
「ちょ…やっぱり敵多すぎ! ドリーム、戻ってきて手を貸して!」
「ひーっ、わたし一人じゃこれだけの数を相手にするの無理だわ……ドリーム!」
「ぐわーーッ、残りHP1ってマジヤバ! ドリーム、ベホイミお願い!」
「何にも聞こえないッッ!!」
「…………いいだろう」
本当にいいのかなぁ、と思いつつも、デスパライアがゆらりと立ち上がる。
その者は、冥界の女帝にて、絶望の始原。
対するは、一筋のか細い希望。
二つが今、激しく交錯する!!
そして一年後……。
ナッツハウスを継いで、ビーズアクセサリーの製作を始めた、りん。
そんな彼女のもとに、今日もまた、騒がしい面々がそろう。
かれんが、ターヘル・アナトミアを手に店に入ってきた。
「ねえ、ちょっといいかしら? りんの身体を解剖をさせてもらいたいんだけど?」
「死んじゃうから嫌です」
こまちが、今週のプリ伍を録画したビデオテープを持って店に入ってきた。
「りんさんっ。『煮詰まる』っていうのは、<十分に手を尽くして、いい結果が出せるようになった状態>を示す言葉であって、今回の使い方は誤用よ!」
「そういうのは、脚本書いた成田さんに言ってくださいよ」
うららが、ノートパソコンをかかえて、おろおろしながら店に入ってきた。
「りんさ〜んっ、最近ブログ始めたんですけど、そこに『キモいファンはいらない』って書き込んだら、ブログが大炎上しちゃって……」
「知らない知らない」
のぞみが、両腕をそろえて前に突き出し、ピョンピョンとジャンプしながら店に入ってきた。
「うえ〜ん、りんちゃ〜〜ん。あたし、教師になるのが夢だったのに、間違ってキョンシーになっちゃったよ〜〜……」
「ちょっと待てぇぇぇッ!?」
(Yes!プリキュア5・完)
夢か現か幻か……
それは、今わの際にカワリーノが見た光景。
「ここは? 私はブラッディさんに掴まれ地獄に落ちたはず… ではここは…」
「地獄に決まっているではないかね」
「その声はブラッディさん!? それにハデーニャさんも!」
「グズグズしてないで、さっさと行くぞ」
「行く? 何処へです?」
「決まっているではないか。閻魔相手に地獄のTOBだ」
「ねえ、ブンビーも多分こっちに来てるだろうから、またコキ使ってやらない?」
「どうしたのかね、カワリーノ。君には私の片腕として存分に働いてもらうつもりなのだがね」
「はっ、はい! お供します!!」
( 終 ) |
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●今週のプリ伍
第46話『わたしの最後にお前が泣いた』
とびっきり!
不思議なチカラが(ええやん、ええやん、スゴイやん)♪
めざめる瞬間(ええやん、ええやん、スゴイやん)♪
…というわけで、OPの『とびっきり! 勇気の扉』は、レモネードバージョン。
初詣の帰り道、ナイトメアのビルのそばを通りがかったのぞみたちの前に、
突然ブンビーさん落下してきた。そして、グシャッと潰れた。
そして、どこからか聞こえてくるヒソヒソという話し声。
『―― まだかすかにでも息はありますか?』
「ニャ(訳:さァ…)」
『生きてさえいれば… 回復を待ち、ひとまず"ナイトメア"での勤務の続投を願いたい所ですね。
―― そう次々と落ちて貰っては、"ナイトメア"の名が威厳を失ってしまいます』
のぞみがキョロキョロとあたりを見渡す。
「この声、すぐ近くから聞こえる気がする」
りん、うらら、こまち、かれんの四人が一斉に指差した。
「のぞみ、上ぇぇぇぇ〜!!」
のぞみの頭に乗っかった一匹のピンキーが、ナイトメア本社からの指令を受けていた。
『この情報は世間に流すべきではありません。私の言っている意味、分かりますね? ブンビーさんの落下事故に目撃者がいてはなりません』
"暴君"と呼ばれていた一匹のピンキーの名を思い出し、ナッツが顔を曇らせた。
「あれは、バーソロミュー・ニャンキュー!!!」
「あいつが!? "暴君"ニャンキュー!!?」
『社長秘書室より特命を下します…!! プリキュアの一味を含むパルミア王国の生き残り全員を、抹殺しなさい…』
「ニャニャー(訳:……た易い)」
威厳と共に、のぞみの頭から飛び上がるピンキー。
「見て! あの掌!」
「んに… 肉球!!?」
「ニャニャ〜ン(訳:この手の肉球は、全てを弾き返す!
私は"ニキュニキュの実"の"肉球ピンキー"…!!!」
しかし、秋元こまちの手によって、のぞみの頭髪には常に幾つかの薬が仕込まれているという設定でした。髪の毛を食うか、髪に侵入すれば、ソイツに投薬できるように。
今回使用されたのは、時間間隔を極限にまで延長させる薬。
「この肉斬り包丁が、止まって見えるかネ?」
顔面いっぱいに笑みを浮かべながら、ニャンキューを包丁で刺そうとするこまち。
「…って、殺してどうするココ!」
「とっととピンキーをキャッチするナツ!」
それでは百年後まで御機嫌よう。
こうして55匹のピンキーがそろった所に、ナイトメア幹部・ブラッディ襲来!
「ドリームはんは、はよピンキーをドリームコレットの中へ!」
「レモネード!?」
「ここは、私に任しとき」
ブラッディの呼び出したマドハンドの大群を前に、レモネード一人が立ち塞がる。
「ほんなら本番行こか」
そんなこんなで、
ドリームコレット奪取に失敗したブラッディさん。
「くそ…くそぉ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!
殺してやる!! プリキュアめ!! 次は必ず殺してやる!!」
「まあまあ、無理しないでください」
そう言って、カワリーノが取り出したケータイをブラッディに向ける。
「…? 何をしている」
「いえね、デスパライア様が記念撮影をしてくるようにとご所望なのです。つまりは……」
ブラッディに次はなかった。
次回、かれん(実年齢21歳)の就職活動 よりにもよってナイトメアに!?
(ちなみに、今回のネタ順は、ワンピ・ブリーチ・電王・ネウロです)
ちなみに、ブラッディとの戦闘では、
「この帽子、気に入ったのでもらっちゃいましたぁ〜」なカンジのお茶目なレモネードと、
「じゃあ、わたしにはその杖ちょうだいッ!」と叫びながら、高速チョップで老人の手から杖を叩き落したミントが素敵でした。老人虐待。 |
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☆こまちの行く年来る年
気が付くと、深々と居間の空気が冷え込んでいた。
こまちがコタツの上の原稿用紙から顔を上げ、時計の時間を見た。
(今日はこれくらいにしておこうかしら?)
明日はみんなと初詣に行く約束だ。そろそろ寝なくてはと思い、万年筆を置いて、コタツの上を片付け始めた。その背後で、襖(ふすま)がガラッと開けられた。
「お、こまち、精が出るねぇ」
姉のまどかが、こまちの手元にある原稿用紙を後ろからひょいっと覗いた。
「だ…だめよ、お姉さん、まだ途中だし……」
こまちがササッと両腕で隠すと、まどかが面白がって、さらに覗き込もうとした。
「もう、お姉さんっ!」
少しキツめの声で、姉の素行をたしなめる。
「減るもんじゃないのに、ちょっとくらいなら見せくれたっていいじゃん」
「えっ…でも…今書いてるのは……」
両腕の下にある原稿用紙へちらりと視線を落として、こまちが恥ずかしそうに顔を赤らめた。
次の瞬間、まどかが左手の甲を右頬に当てて、ずざざっと襖まで後ずさってへたり込んだ。
「まさかこまちが18禁小説をっ!? お赤飯炊かなくちゃっ!」
「ち、違うわよっ、お姉さん! 何てこと言うのッ!」
顔を真っ赤にして、こまちが叫び返す。
「わかってるって、冗談冗談。……恋愛モノだろ」
さらりと言い当ててみる姉。ゆっくりとコタツの中へ脚を潜りこませ、こまちに優しく微笑みかける。
「なあ、こまち。何を書いても自由だけど、自分の気持ちをそこに封じ込めちゃダメだぞ」
「えっ?」
まどかが軽くコブシを握って、こつんっ…とこまちの胸を優しく叩いた。
「ここにある気持ち……これは、こまちのモノだから。小説の中の登場人物にくれてやっていいものじゃないからな」
優しいけれど、力強くて真っ直ぐな眼差し。暖かな光をたたえた姉の瞳を見返して、こまちがコクリと頷いた。
「よしっ!」
満足そうに笑みを浮かべ、まどかがコタツに下半身を突っ込んだまま、ゴロリと畳の上に寝そべった。手を伸ばして座布団を取り、枕の代わりにする。
「お姉さん、ダメよ、ここで眠っちゃ」
言っても聞かないのは分かっているが、一応、声だけはかけておく。
コタツから出ると、暖かさに慣れていたせいか、けっこう寒い。ぶるっ…と背を震わせて、足早に自分の部屋へと向かう。
(わたしの気持ち……)
原稿用紙を、そっと胸で抱きしめる。
自分の部屋に戻ろうとしていた足が、ふと止まった。ゆっくりと玄関のほうを振り向いてから、(どうして?)と思う。
自分でも分からない胸騒ぎ。こまちが素足のまま靴を履き、玄関の戸を開ける。
そよ風に揺られて舞い散る桜の花のようにふんわりと、雪が降っていた。
その先に ―――― 。
「ナッツさん?」
声に気付いたナッツが、こまちへと視線を向け、「スマン」と呟いた。
吐く息も白く、凍えてしまいそうなほど。
「どうしたの、こんな夜遅くに……」
「ココと一緒にテレビを見てたんだが、ミルクに家を追い出されてしまった」
「えっ、ココさんは?」
慌てて周りをきょときょとと見回すこまちへ、ナッツが、
「あいつは、のぞみの所へ行った」
と、いつも通りの物静かな声で答えた。そして、「けれど…」と続ける。
「俺もついて行くワケにはいかない。二人の邪魔になるからな」
親友への淡々とした気遣いを見せてから、彼にしては珍しく、弱い口調で呟いた。
「俺は……ここ以外に行く所を思いつかなかった」
最後に、「まさかこまちに会えるとは思っていなかった」と言い残し、この場を立ち去ろうとした。その背を、こまちの足が一歩追った。
「待って! ナッツさんっ」
こまちの声に、ナッツが足を止める。
「あの……」
遠くから聞こえる除夜の鐘。
「今から、二人で初詣に行きませんか?」
ナッツの視線が、鐘の音をたどって遠くを向いた。
「人が多いのは……苦手だ」
「だったら、わたしだけを見ていてください。どれだけ人がいても、わたし一人だけを……」
こまちが、ナッツの手をとる。長い間この寒さに晒されていたためか、随分と冷たい手だった。すらりと細指を生やした手は、思っていたよりも大きい。
自分よりも背の高いナッツを見上げながら、眼差しで伝える気持ち。
雪降る中、二人が静かに視線を重ね合う。
しばらくして、ナッツが口を開いた。
「今夜はとても冷える」
いつも通りの無愛想な声。でも、こまちを見つめる瞳は、とても穏やかで優しい。
「風邪を引かないように、暖かい服装で行こう」
「ハ…ハイ、すぐに着替えてきますッ!」
「慌てるな。転ぶぞ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「んっ…、今何時だ?」
まどかが上半身を起こしながら時計を見る。コタツで寝てしまったせいで、全身がポカポカと温められてしまって、だるい。
(自分の部屋で寝なおすか)
コタツのスイッチを切って、よっこらせ、と立ち上がる。家の外では、雪が浅く積もっているほどの寒さ。暖房器具がコタツしかない居間もまたそれなりに冷えていた。コタツに入っていた時との温度差に、まどかが、ぶるっ…と身を震わせた。
(さむっ……。こりゃあたしの部屋の布団もかなり冷えてるだろうなぁ。こまちのベッドにお邪魔させてもらう)
と、足早にこまちの部屋に向かう。
「こっまち〜♪」
妹の部屋は、電気を点けておらず真っ暗だった。
「あれ?」
人の気配がしない。まどかが電気を点け、ベッドが無人なのを確かめた。トイレとに行っているというわけでもなさそうだ。ベッドに触れたまどかが、その冷たさから確信する。
(となると……やっぱそういうことかなぁ)
女のカンで全てを把握したまどかが、両腕を組んで、ウンウンと頷いた。
季節は冬。春はもう少し遠いけれども……。
(ま、大丈夫だろ)
まどかがパンパンと軽く拍手(かしわで)を打って、今年最初の願いを口にした。
「どうか、今年一年も、こまちにとって良い年でありますように」
(おわり) |
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昨日最終回を迎えた電脳コイルは、俺の中で伝説となった。
いや、感想書くヒマねーけど。
●今週のプリ伍
第42話『りんとかれんのひそかな約束』
(ヤバイヤバイ……マジでこれヤバイって……!)
夏木りんが心の中で悲鳴を上げた。
サンクルミエール学園の正門へ近づくにつれ、生徒たちの数も多くなっていく。
りんは絶対に転ばないようにと、歩調を小さくして、慎重な足取りで歩いていった。
風が軽く吹いただけでも、心臓が縮みそうになる。
正門の前に、彼女が立っていた。
水無月かれん。
りんは、顔を真っ直ぐ上げて、キッと瞳に力を込める。そして、かれんの顔を真正面から見据えて、
「おはようございます、かれんさん」
と、何でもない風に挨拶した。
「おはよう、りん」
かれんも自然な笑みを浮かべて挨拶を返してきた。
そして、校門を抜けたりんの後ろについて、彼女の歩調に合わせて歩き始める。
りんが歩きながら、すぐ後ろにいるかれんのほうを振り向かずに尋ねる。
「……やだなぁ、かれんさん。あたし、ちゃんと約束守ってますってば」
「ええ。疑ったりなんてしていないわ」
「じゃあ、何で付いてくるんです?」
「その……ちょっと、いいから来てっ」
つれていかれたのは、三年生の女子トイレ。先に入ったかれんが、人気の無いことを確認してから、りんを手招いた。
(へいへい…)
りんは、もうすっかり腹をくくっていた。かれんと一緒に個室に入ると、彼女が何かを言い出す前に、自分の手でスカートの裾をつかんで、バッとめくり上げた。そして、やけくそ気味に言ってのけた。
「さっ、どうぞ気の済むまでご確認ください。約束どおり、下着は穿いてきておりません」
二人は、以前から水と油の関係。昨日も、二人はやっぱり険悪ムードだった。りんの母が営む花屋で対立することになった二人は、どちらが花を売るのが上手いかで勝負した。負けたほうは、ある罰ゲームをするという条件付きで。
そして、負けたりんは、かれんに約束した。明日、必ず罰ゲームを実行すると。
その罰ゲームが、これだった。
負けたほうは、下着を穿かずに登校する。
かれんとの約束どおり、りんはスカートの下に何も穿いていなかった。かれんの目に映るのは、局所も露わな、スラリと引き締まった下半身。
かれんは、「きゃっ」と声を上げて、両手の平で顔を固く覆った。
りんにとって予想外の反応。
「あ、あの……かれんさん?」
無言で身を震わすかれんに、りんがおずおずと声をかけてみた。
「りん…」
身体同様に、震えた声。指の隙間から恥ずかしそうに片目を覗かせて、かれんが言葉を続けた。
「その…昨日の勝負のことなんだけど……」
売り上げの数字で勝負を決し、かれんの勝ちとなったのだが、しかし、売った花の数に関しては、りんのほうが上だった。
「だから、わたし、……やっぱりあの勝負は引き分けだったと思うの」
「だったら、こんな恥ずかしい罰ゲームを実行したあたしが馬鹿みたいじゃないですかっ」
食ってかかってきたりんの前で、かれんが恥ずかしそうに両手を下ろし、自分のスカートの裾をつまんだ。
「えっ、まさか、かれんさんも……」
「勝負は引き分けだった……そう言ったでしょ?」
ためらいながらも、スカートを自分の手でめくり上げていく。
りんの目の前に、やはり何も穿いてない下半身が、くっきりと露わになった。目に焼きつくような白い肌、そして……。
「くっ…」
嗚咽を噛み締めるうめき声。
かれんのような誇り高い令嬢が、こんな下らないことで乙女にとって一番大切な部分を見られてしまうのは、どれだけツライだろうか。
「もう……いいですよ、かれんさん」
りんの言葉が、かれんを羞恥の地獄から解放する。そして、いたずらっぽく耳元に囁きかける。
「今日はお互いこれぐらい……ってことで」
「えっ?」
「今度はもっと勝ち負けのハッキリした勝負でいきましょうよ。ややこしい引き分けなんかのない……」
「もしかして、また罰ゲーム付き?」
りんは「もちろん」と言った口に、爽やかな笑みを浮かべてみせた。
「だって、かれんさんの恥ずかしそうな顔、すごく可愛いもん」
かれんが「…えっ?」と一瞬遅れてから反応を返した。
「かれんさんの恥ずかしそうな顔、今度は実力で見させてもらいます」
勝気に振る舞うりんの態度に、かれんの負けず嫌いの気性が刺激された。
「何を言っているのかしら? 今度こそきっちりと文句の無い勝ち方をして、りん、あなたを徹底的に辱めてあげるわ。ふふっ、今から楽しみね、あなたが顔を恥ずかしそうに歪ませてボロボロ泣くのが」
「ははっ、サディストはあたし一人で十分だってーの。かれんさん、前から思ってたんですよ。その高慢ちきな顔、いっぺん涙でグシャグシャにしてやりたいって」
「あら、りんってマゾなんだと思っていたわ。言われもしないのに、いきなり下半身を晒して。わたしに恥ずかしい部分を見てもらいたかったんでしょ? ふふっ、怒ったフリなんかして、可愛かったわよ」
「いいえ、まぎれもなくサディストです。いつか、かれんさんを同じ目に合わせてやろうと思って、興奮して濡らしてましたから」
「ふふふふふ、はしたない子ね、りんたら。…いいわ、今度はその濡らした部分、たっぷりと見てあげるわ」
「あはははは、ええ、見せてあげますよ、かれんさんの泣き顔見て、たっぷり興奮したアソコを」
トイレの一室で、不適に笑いあう二人。彼女らは固く誓い合った。お互い、正々堂々と力を尽くして勝負し、負けた側は必ず罰ゲームを実行すること。
他の誰にもいえない、りんとかれんのひそかな約束。
……………………、
こーゆー内容を予想してたんだが、激しく違ったな。 |
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●今週のプリ伍
第40話『理事長の正体を探れ!』
リジチョウ……正体不明の人物。運動部の部室から靴やタオルが紛失したり、旧校舎のレンガの塀がいつの間にか修復されてたりという数々の事件に関与が深いと思われる。
生徒会長であるかれんは、かねてよりその正体を追っていた。
ある日、かれんが目を覚ますと、そこは全く見知らぬ部屋だった。
「どこなの、ここは?」
とりあえず、目の前のドアを開けると、全裸で四つん這いのポーズをとらされた少女と、
それを黙々とスケッチし続ける少女がいた。
「や〜ん、誰か入ってきたナリ ―― ッ!」
「…………」(スケッチスケッチ)
「恥ずかしいナリ ―― ッ! こんな姿見られたらもうお嫁にいけないナリ ―― ッ!」
「…………」(スケッチスケッチ)
とりあえず、この二人にはかかわらないことにして、かれんが次のドアを開けた。
すると、そこでは赤い髪の少女が、静かにいくつものメロンパンを積み上げていた。
「あなた……一体何をしているの?」
しかし、赤い髪の少女はそれに答えず、
「ひとつ積んではメロンパンのため、ふたつ積んではメロンパンのため……」
と、ぶつぶつ言うばかりだった。
賽の河原のような光景ね、と思いながら、かれんは次のドアを開けた。
そこにいたのは青い髪の少女。
彼女はデネブに憑依されていた。
「どうぞ、デネブキャンディーです。侑斗をよろしく」
(侑斗なんてどうでもいいわ。それよりもみのりちゃんをよろしく)
「いーや。侑斗のほうをよろしく」
(みのりちゃんをよろしく)
はたして、かれんは何を試されているのか。
そして、このゲームは一体誰が仕掛けているのか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「それで、それで、一体どうなったミル? リジチョウの正体は誰だったミル?」
ナッツハウスに帰ってきたかれんは、ミルクと一緒にお茶を楽しみながら、事件の顛末を語った。
「リジチョウは、わたしが睨んでいた通り、おタカさんだったわ。正体のバレたおタカさんは、怪人ハデーニャに変身して襲い掛かってきたけれど、フッ…所詮プリキュアの敵ではなかったわ」
「さすがかれんミル!」
ミルクが、ちょこちょこっとドアへと走り、ジャンプして中から鍵をかける。
「あら、どうしたの、ミルク?」
ミルクは、背を向けたまま答えなかった。
(なぜ、ドアに鍵をかける必要があるの? もしかして、ミルク ―― ?)
ハッと気付いて、かれんが背後を振り返った。
そこには、人間用のウェディングドレスと並んで、とても小さなウェディングドレス。
婚姻届の用紙。
ひとつのベッドに、二つ仲良く並んだ枕。
「ふっふっふ、事件はまだ終わっていなかったミル。かれん、安心するのが早すぎミル!」
「ミルク、そうだったの? あなたが……」
「ゲームオーバーミル!」
ミルクが稲妻めいた速度で、かれんの左手の薬指に指輪をはめた。
『チョウ4・完』
あー、ちなみに『SAW4』は見に行ってません。見に行く気もありません。
SAWシリーズは、最初のやつ以降、どんどんクオリティ下がってるみたいなので、
猫塚は『3』で見限りました。
……ホントは、肉体的に痛いシーンが怖くて見に行けなかった。
『3』の時点でも相当だったもんなぁ。つか、そっち方面のクオリティ上げてどうするよ。 |
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