心に降る闇色の雨03


　べとべとになった耳から口を離して、満が優しい声で聞く。
「もうガマンできなくなっちゃった？」
「うぅ…」
　薫の首がガクンっと落ちるように、縦に振られた。もう、だいぶ意識が情欲の波にさらわれて
しまっているらしい。
「まだ始めたばっかりなのに……薫ったらイケナイ子ね」
　お仕置きとして、乳首をキュッとつねってやった。薫が眉間に悩ましいシワを刻んで「あうぅ」と
うめいた。
「まあいいわ。ふふっ…」
　満が自分の股間から薫の手を抜いて、彼女の乳房へ向かって上半身をかがめた。満の目
の前で、瑞々しい胸の果実は、その先っぽをツンと固く尖らせて、しっとりと汗ばんでいた。
「あっ……み…満……」
　薫が、かすれた声で満の名を呼ぶ。
「なーに？」
　乳房へとゆっくり唇を近づけていきながら、満がチラリと薫の顔を見上げた。
　満と視線の重なった薫の表情が、いたたまれないほど恥ずかしげに歪んだ。開きかけた口
を、再び閉ざしてしまう。
「……乳首、しゃぶってほしいんでしょ？」
　薫が言えなくなってしまった言葉を、満が代わりに言ってやる。薫は真っ赤になった顔で頷い
て、胸に仕舞い込みかけた言葉を、思い切って口に出した。
「……それから……満の口で、いっぱいイジメて…ほしい……」
　自分の言葉が、そのまま焼きごてとなって理性へ押し付けられた。心が、その熱さに焼けた
だれていく。
　ぶるぶるっ……。
　全身がカッと熱くなって、満の指にいじくられている秘所をいっそう潤ませた。理性の芯が熔
けてしまったように感じた。
「…………」
　今すぐ書斎から逃げ出したくなるような羞恥に苛まれつつ、ごくっと唾を飲み込んだ。言ってし
まった後悔と、淫靡な快楽への期待が、薫の表情に混じりあう。
「いいわよ」
　満が軽く頷いて、ニッと口元に笑みを浮かべた。
「薫がそう言うんだったら、た〜〜〜…」
　言葉を水飴（みずあめ）のごとく引き伸ばながら、嬲るようないやらしい視線を薫に送った。
「…〜〜〜っぷりと、イジメてあげる。……思う存分、狂ったみたいな声で泣き叫ぶといいわ」
　妖しく色めいた紅い瞳が、暗に『もう後戻りはできないわよ、いい？』と警告をささやきかけて
いた。
（本当に狂わされる……っ！）
　―― ゾクッッ！
　薫の背筋を冷たい汗が伝った。しかし、同時に全身を淫らな歓喜が走りぬけた。
「……満の、好きにして」
　表情には、恥じらいと嬉び。閉じたまぶたの裏で薫が思う。満になら、この身をどれだけ堕と
されてもかまわない。たとえ、この場で処女を奪われても受け入れられる。
　満の唇が、真横から乳房に触れてきた。唇をぐっと押し付け、柔肉の弾力を愉しむ。そして、
押し付けたまま先端のほうへ滑っていく。
（あっ……！）
　ぴくん、ぴくん、とカラダが引くつく。キュッと固くなった乳首が、満の唇を待ちわびて、切ない
までに疼いていた。薫が耐え切れず、
「満……早く……」
　と、声に出して急かしてしまう。
　薫が初めて見せる痴態に、満が楽しそうに目を細めた。乳房の先っぽへ唇を寄せ、いきなり
『カリッ』と鋭く噛みついた。
「ヒィッ…！！」
　悲鳴と共に、薫の上体がビクン！と強張った。乳首に容赦なく食い込む、硬い歯の感触。
　眉間に刻んだシワは痛々しく、うっとりと閉じていたはずの両目も大きく見開かれる。
　キリッ！と噛む力を満が強めた。
「痛ああぁぁッッ！！」
　薫の悲鳴が部屋中に響き渡った。
「ふふふふ…」
　イタズラが成功した子供みたいに笑う満が、薄い桜色の乳輪ごと乳首を口に含んだ。そし
て、『ぢゅるるるぅぅ』と大きな音を立てて吸引する。
「んぅぅぅーっ」
　噛まれた痛みでジンジンと疼いている最中の乳首をきつく吸い上げられ、薫がうめき声を洩
らした。
　満が乳首にしゃぶりついたまま、ぐぐぅっと首を反らせた。薫の乳房が引っ張られ、やがて、
『ちゅぽんっ』とすっぽ抜けた。
「あんっ」
　薫の乳房が、ぷるんっ…と胸の上で軟らかく震えた。
「はぁ…はぁ…はぁ……」
　乱れた呼吸に合わせて、薫の胸がせわしなく上下している。べっとりこびりついた唾液によっ
て、てらてらとツヤ光りする乳首は、まだまだイジメてほしそうに見える。
　満が、突き出した舌を乳首へと押し当てた。舌の表面を擦り付けるように、たっぷり十秒以上
かけて一舐めした。最後に舌先で乳首をペロンッと跳ね上げる。
「あぁんっ」
　薫が汗ばんだカラダを悩ましくくねらせて、甘美な声を上げた。
　その彼女の姿に、満は心の中で、桃色の溜め息をついた。
（もう薫ったらぁ。本当に色っぽすぎるわよ……）
　薫の媚態に触発されて、いじってもいない秘所の奥が『じゅんッ！　じゅんッ！』と沸き立って
いた。満は、その淫らな熱をソファーに腰をすりつけてこらえる。
（まだ…まだダメよ。もっと薫をいっぱいイジメて、狂いそうなぐらい気持ちよくしてあげて……そ
して、次は、あたしの気が狂うまでイジメてもらうんだから）
　薫の指や舌による責めを想像して、満がますます秘所を熱くさせた。
（だから、もう少しイジメてあげるわ、薫）
　満が、そっと舌なめずりをした。
「ねぇ、薫」
　呼びかけに答えて、満を見返してきた薫の目はやや虚ろだった。ピチャピチャと彼女の秘所
でいやらしい水音を跳ねさせつつ、満が甘えた声を出した。
「わたしね、こっちのプリンも食べたいのよ」
　そう言って、自由なほうの腕を薫の背から回し、まだイジメてない側の乳房を下からすくい上
げた。手の平の上でたぷたぷと弾ませて、
「わたしが美味しく食べられるように、これに甘いシロップをかけてほしいの」
　満がにっこりと微笑んだ。
　薫は、その言葉どおりに意味を捉えて、
（シロップ？　……冷蔵庫にあったかしら？）
　ソファーから立ち上がろうとした途端、
『ぷちゅ…っ』
　満の小指が、秘貝の割れ目に強引にねじ込まれた。膣内に溢れていた愛液が、押し出され
るように噴き出す。
「…………ッッ！！」
　悲鳴は言葉にならなかった。開いた口を、無音でパクパクと喘がせる。浮かせかけた腰がガ
クン！とソファーの上に砕け落ち、長い両脚をびくっ…びくっ…と痙攣させた。
「あら、ダメよ、薫。逃げ出そうなんて考えちゃ」
　満の微笑みの表情は変わらない。そこに、ワザとらしさが見て取れる。
「ち…違う、わたしはただシロップを……取りに……」
　弱々しく弁明しようとする薫へ、満がサディスティックな視線を投げかけた。
「あら、わたし、シロップを取りに行ってなんて頼んだ？　わたしは、おっぱいにシロップをかけ
てって頼んだはずよ」
　ぐりぐり……。満の小指が膣の中で動いた。
「ひぐっ！」
　薫の腰がビクンッ！とソファーの上で跳ねた。股間に差し込まれた腕を、両手で強く掴んで、
その動きを止めようとする。
「痛いの？」
　笑顔で訊ねてきた満に、薫は狂ったように何度も頷いた。だが、
「じゃあ抜いてあげるわ…………ぷっ……あはははっ、な〜んて言うと思う？」
　この状況で、満が天使のようにあどけなく笑った。地獄の獄卒よりも無慈悲だ。
「さぁ、早くしないと、薫？　わたしの人差し指ちゃんと中指ちゃんもココに潜ってみたいって言っ
てるんだけど？」
「ヒッ」と短い悲鳴を上げて、薫が、
「何か……ヒントだけでもっ」
　と、切羽詰った声を上げた。だが、満は何も口にすることなく、一瞬、唇を突き出すみたいに
すぼめて見せただけ。
　ぐりっ、ぐりっ……。処女の膣を、初めて挿入された異物がえぐり続ける。
「ぐぅっ……………………」
　薫が両目を閉じて、苦悶の表情で思考を巡らす。早く答えを見つけないと、満は本気で指を
二本、三本とねじ込んできそうだ。
　シロップ？　シロップ？　ここから動かずにかける……？
　薫が訊ねた際、満が唇をすぼめてみせたのを思い出し……、
（……かける？）
　即座に薫がもぐもぐと口を動かして唾液を集め、たらり……と自分の乳房の上へ垂らしてい
った。
　薫の唇と乳房を、透明な糸が繋ぐ。やがて糸はだんだんと細くなって途切れた。
　乳房の上に垂らされた唾液は、その丸みに沿って、乳首の横を伝い落ちていく。
　形の綺麗な乳房を、一筋の唾液の跡が猥褻に彩った。
「満……シロップを…かけた」
　満が小指を動かすのをやめた。しかし、抜く気配はない。
「……たったそれっぽっちなの？」
　満が、いかにも残念そうにつぶやいてみせた。
「わ、わかった」
　薫がさっきよりも多く口に中に唾液を溢れさせて、だら〜っと自分の乳房へ垂らしていった。
　細かい気泡を大量に含んだ唾液が、ねっとりと乳房を汚す。
　乳房の丸みを伝いこぼれようとする唾液を薫の手がすくい取って、肌のまだ濡れていない部
分へ、べったりとなすりつけた。
　薫が、か弱い視線で、これでどうかと問う。しかし満は、まだまだよと首を横に振った。
　薫は乳房に唾液を垂らすのをやめ、両手で皿を作り、そこへ口の中に溜めた唾液をこぼし
た。その手で、自ら乳房を撫で回していく。
「……ン……ぁ……」
　乳房の先端を手の平がかすめた。消え入りそうな喘ぎ声と一緒に、白い裸身が小さく震え
る。ジ……ンッと乳首に響く甘美な痺れに反応して、満の小指を咥え込んだ膣がきゅうぅっと収
縮した。
（んっ……薫ったらぁ！）
　きゅっと絡み付いてきた膣内の肉襞に、指が気持ちよく締め付けられる。悪くない感触だが、
それでも満の瞳の奥で、嗜虐的な焔が妖しく揺らめいた。
（このわたしが気持ちよくしてあげるって言ってるのに、自分の手で感じちゃうなんて許せない
わよ、薫。ふふふっ……）
　淫靡な猛毒を含んだ視線には気付かず、薫が再び両手で皿を作り、ツバをだら〜っとこぼし
た。それを両胸の柔肉にベチャッと押し付け、毛穴ひとつひとつにまで唾液を沁みこませていく
勢いで、自分の乳房を乱暴にこね回し始めた。
「……ぁぁ……うぁぁ……ああっ……あああぁっ……」
　満が見ている前で、乳房をむさぼる手付きがだんだんとエスカレートしていく。よほど気持ち
いいのか、満の小指を膣に咥えたまま、なまめかしく腰を揺すっている。口から洩らす喘ぎ声
も、随分と甘ったるくとろけていた。
「あっ…あっ……んッ……あんんっ……」
　執拗にしゃぶりつかれる事を予想して、乳首には特に入念にツバをなすりつけていった。唾
液まみれの親指と人差し指で強く挟んで、固い乳首を揉みほぐしながらコリコリと転がす。
「あふぁ……」
　薫の顔が仰け反って、白い喉を覗かせた。そこに、満の顔がかぶさった。
　ちろっ…っと喉を舐め上げる舌の感触に、薫が「うぅっ」とうめいて、ぶるぶる…と身を震わせ
た。
　ひくひくと小指に絡み付いてくる肉襞の悶えと、腰の下のソファーをべっとり汚す、だらしのな
い粘液の量が、薫のカラダの現状を雄弁に物語っていた。
「満……もういい……？」
　はむはむと喉を甘噛みしている満へ、乳房をツバでコーティングする作業を止めて訊いてみ
る。
　全身が性感帯になってしまったみたいに、どこもかしこも熱くイヤラシク疼いて、早く満にイジ
メてもらわないと気が狂いそうだった。
「ん……もういいわ」
　喉から口を離した満が、薫の顔を見てニッコリと笑った。
「もう、プリンいらない」
「…………えっ？」
　薫が蒼い瞳に困惑の色を浮かべた。
　満が空々しい笑顔を崩さず、『ちゅぷ…』と薫の膣から小指を引き抜いた。
　満がスクッ…と立ち上がった。ソファーの上でカラダを弛緩させている薫を紅い瞳で見下ろ
し、突き放したように言う。
「だって、薫ったらズルイもの。何よ、自分の手で気持ちよくなっちゃってるじゃない。今さら、わ
たしにおねだりなんかしなくてもいいわよね？　さっ、どうぞご勝手に。好きなだけ自分で自分を
イジメればいいわっ」
　冷ややかな声で捲し立ててから、微かに蒼ざめた顔の薫へ、くるりと背を向けた。
　突然のことに混乱を覚えつつ、薫がその後ろ姿に慌てて呼びかけた。
「ま…待って、満、ほら見て……わたしのプリン、美味しそうよ？」
　薫が、唾液のヌメリで丸みを卑猥に強調された乳房を下からタプッと持ち上げてみせた。
　しかし、満の背は何も反応しない。
「待って！」
　薫がソファーから立ち上がろうとして、ガクッと両ひざを床につけた。下半身が溶けてしまった
みたいに、脚に力が入らない。
「あ……うぅ」
　両ひざに両手をついて、よたよたと腰を上げるが、弱々しく一歩を踏み出したところで再びひ
ざが砕けてしまった。ドサッと身体が床の上に崩れる。
（はぁっ…はぁっ…腰の奥が……熱いっ……）
　とろん…と潤んだ瞳で、熱っぽい溜め息を口からこぼした。
　狂おしいまでに滾った性欲は、処女の膣粘膜を甘美な電流で撫で上げ、さらにその奥、無垢
な子宮までもを淫猥な疼きで責め狂わしていた。
「あぁっ…」
　たまらず薫が頭をぶんぶんと左右に振った。
「待って……ぁぁ……満……はぁ…はぁ……わたし…本当にもう……」
　乳首に噛みつかれてもいい。陰部を指でえぐられてもいい。どんな陵辱でも受けるから、早く
……早く……。
　薫が倒れた姿勢のまま、切ない視線で満の背中を見上げた。その視線に答えたのは、肩越
しに振り返った紅い眼差し。興奮に濡れた瞳に浮かべているのは、悪意のこもった拒絶。
　薫の状態を十二分に理解した上で、いたぶりにかかっていた。
「すごく素敵な格好ね、薫。ふふふ……似合ってるわよ……あははははっ」
　屈辱的な姿で床に這う肢体へ、満が侮蔑の視線を投げかけ、あでやかにあざ笑う。
「さぁ、薫、お遊戯の時間よ。……鬼さんこちら、手の鳴るほうへ♪」
　再び薫に背を向け、満が歌を口ずさみながら、手の平をパンパンと打ち鳴らす。
「く…うぅ……」
　薫が泣きそうなうめき声を洩らした。
　下半身はすっかりやられていて、言う事を聞かない。ぶるぶるっ…と震える腕を伸ばすと、指
先がかろうじて満のかかとに届いた。…が、彼女はその足を無情に一歩前へ踏み出させた。
「ほらほら鬼さんどうしたの？　こっちこっち♪」
　手の平をリズミカルに打ち鳴らしつつ、もはや移動できない薫をはやし立てた。
「あら、もう諦めたの？　意外とつまらないのね、薫って。わたしのイジメられるのが嬉しくて、あ
さましい顔で犬みたいに腰振ってたくせに。
　それとも何、このわたしに情けを期待してるのかしら？　そうやって転がっていたら、わたしが
可哀想に思うとでも？
　あははははっ、お・こ・と・わ・り・よっ。あなたみたいなブザマな女にはね、わたしの情けを期
待する資格なんてないのよっ！」
　嘲弄の言葉が、流れるように口を突いて出た。
　薫のほうに向き直った満の背に、ゾクゾクッと淫らな歓喜が駆け昇ってきた。世界で一番大
切な存在が、自分の言葉に辱められている。
　美しい青い髪と、魅惑的な白い肢体。いまや恥辱にまみれて、床の上に這いつくばっている。
今すぐにでも、その裸身を抱き起こして、力いっぱい抱擁し、二人の唇が蕩けてしまうまでキス
してあげたい。
　愛してる。心の奥底で、薫を想う正直な気持ち。
（でもね…でもね……とまらないのよ。ふふっ、薫のそんな姿を見ていると、もっとイジメたくなっ
ちゃう。薫を……嬲り倒したくなってきちゃうのよ……）
　満が喉の奥でくくく…と笑う。表情には、女帝のように驕慢な笑みを張り付かせ、薫の姿を舐
める紅い瞳には、うっとりと歪んだ愛を孕ませる。
「ふふふっ、どう？　今の情けない姿をわたしにじっくり見られる気分は？
　恥ずかしい？　くやしい？
　……ちがうわよね。ほら、今も大事な所を熱く火照らせて……とまらないんでしょ？
　気持ちいいのよね？　こんな風にわたしに見られるのが」
　薫がうなだれて、両肩を小さく震わせた。
　それを見た満が表情に淫らな悦びを滲ませ、なまめかしい溜め息をこぼした。ただ、言葉で
薫をイジメているだけなのに、全身が溶けそうなほど気持ちいい……。
　今だけは、自分の足元で打ち震える薫へ、侮蔑と憐れみをブレンドした視線を好きなだけ注
ぐことが出来た。満の淫らな特権だ。
　身動きの取れない薫を言葉でいじめ、視線で嬲り ―― そんな陰湿な行為の陰で、満の胸の
内では、薫への愛情が、我が身ごと焼き尽くさんばかりの勢いで燃え上がっていた。
　紅い瞳が、燃えるような歓喜に美しく輝く。
　興奮のせいか、口の中がカラカラに乾いていた。でも、その口から吐き出される全ての言葉
は、熱い湿り気を帯びていた。
「変態ね、薫。あなたって根っからの変態だわ。いつもはお高く取り澄ましているけど、これが
あなたの本性なのよ。
　……ふふっ、あらやだ、ここまで臭ってきてるわ、薫の……濡れたお股の臭い。そんな所をい
やらしい涎でぐしょぐしょにして……随分とお行儀が悪いじゃない、薫。
　……くくっ……あははははっ、恥ずかしい姿を晒して、恥ずかしい臭いを嗅がれて……それ
で、さらに感じてるのね、薫ったら！
　本当に……本当に、救いようのない最低の変態女よ、あなたって人は！」
　自分の一言一言に、背筋をサディスティックな快感でざわめかせた。
　薫のプライドを徹底的に砕かんと卑しめの言葉を投げつける都度、秘所が熱く疼いて反応し
た。形の良い両脚の間から、透明の滴がぽたり、ぽたりと床に落ちていく。
（はぁぁぁ……、何だか頭がくらくらしてきたわ……）
　満がそっとまぶたを下ろした。両脚をきつく閉じて、わずかに腰を引く。そして次の瞬間、
　―――― ビクッッ！　ビクンッッ！　ビクンッッ！
　裸身に跳ねる快感の大波は、突然やってきた。全身を蕩かす甘い痺れが、腰の奥から激しく
駆け昇ってくる。
「やだぁっ……あぁぁぁっ……」
　泣くような声と共に、満が立ったまま達してしまった。
　両手の平を股間にぐっと押し当て、堰（せき）を切ってほとばしる快感を押さえ込もうとする努
力もむなしく、ガクガクと崩れそうなひざが止まらない。
（……ダメ……立ってられない……）
　力なく、ぺたんっと床に尻餅をついた。
　うっすらと開いた視線の先で、なおも薫の肩が震えていた。長い髪に邪魔されて見えないが、
うなだれている彼女の綺麗な顔は、悔し涙と被虐の悦びで、面白いぐらいに歪んでいるだろう。
（ごめんなさい、薫……すぐに……優しくなぐさめてあげるから……もう少しだけ待って……く
っ！？　ああぁっ……わたし…またッ……！）
　びくっ…びくっ…と絶頂の余韻を這わせている全身に、ビクンっっ！！と大きな震えが走っ
た。連続で来た絶頂に、脳が白く焼きただれる。